ピリリ、ピリリリ
その音にもそろそろ嫌気がさしてきた。
「初音さんじゃないの?」
そんな予感がするから、こんなにも着信音が鬱陶しい。
「出ないなら早く切って」
「⋯あぁ」
小さく頷いた薫くんがポケットからスマホを取り出す。
チラリと見えてしまった⋯というよりは覗いたスマホの画面にはやっぱり、初音の文字があって、彼女もいい加減にしてよ、と怒りと呆れで唇が震えた。
もう、本当に嫌。
本当に本当に、嫌。
「薫くん、ちょっとあたし、ムリだ⋯」
「⋯は?」
「ちょっと、もう⋯薫くんといるの辛い」
大好きなはずなのに、すごくすごく心が痛い。
薫くんの影に初音さんがチラチラ見えてしまって、泣きたくなる。
これからもずっとこんな想いをしていかなきゃいけないのかと思うとかなり、キツい。
「どうせ薫くんは初音さんを切るつもりないんでしょ」
「は⋯、柑奈なに言ってんの?」
「同じ大学だし同じバイト先だし、二度と会わないでなんて無理だもんね」
今、初音さんはあたしと薫くんが一緒にいることわかっているのに電話かけてきたんだよ、そういう人なんだよ、初音さんは。
それでも薫くんは連絡先すら消してくれないんでしょ。
初音さんを庇うんでしょ?
「あたし⋯、あたし、」
感情的になっちゃダメ。
そうなってしまったら絶対に良い方に物事は進まないとわかっているのに。



