ポタポタと落ちてくる涙はもう止めることなど不可能だ。
ズッと鼻を啜りながら薫くんを見上げると、眉を寄せて真っ直ぐあたしを見ている姿がある。
困ったようにあたしを捉えている瞳は僅かに揺れていて、言わなければよかったと後悔した。
傷つけてしまったかもしれないと、心が痛んだ。
だけど、初音さんの声や姿が脳裏に焼き付いて離れてくれない。
初音さんの味方をするような態度の薫くんにも、深く傷ついたんだ。
後悔することなんてわかりきっているのに、
ムシャクシャどうにもならない想いを発散したいと薫くんを傷つけてしまう。
「あたし、薫くんのそういうところ本当にムカつく」
「なんで初音さんに何も言ってくれないの!?勝手にスマホ触られたんだよ、なんで怒らないの?」
「なんでっ⋯、もう、ムカつくっ⋯!」
嫉妬と独占欲でぐちゃぐちゃになった頭では冷静に考えるなんてこと出来なくて。
涙声で掠れた声が冷たい空気に触れて消えていった。



