ハニーシガレット 【完】






だけど、恥ずかしさとか、呆れとか、そういう感情の前に。


風に揺れたポニーテールが、初音さんを連想させた。


調子乗ってポニーテールになんてするんじゃなかった。

趣里にコツを聞いて、朝早くから頑張ってみたけど、全然、初音さんの方が似合っている気もする。


「⋯っ」


バイト先での値踏みするような視線、

柑奈ちゃんと呼ぶ声、

帰り際、薫くんに向けた笑顔、

小さく振った手。




「あたし⋯、初音さんのことキライ⋯」



ポツリ、と小さな声だったけれど確実に薫くんに聞こえていただろう。



「柑奈?」


僅かに寄った眉に、ドクンと心臓が大きく跳ねた。