ハニーシガレット 【完】









そして三人の背中が遠ざかって、薫くんが急いで駅の方へと向かっていく。


だけどあたしはここに居るわけで。
このままでは無駄足になってしまう。

まあ、それもいいかなって。連絡のひとつも寄越さないで他の女にスマホ弄られて、寝坊して、急いで向かってあたしが居なくて焦ればいい。


そうも考えたけど、それはちょっと、可哀想かなって思ってやめた。

薫くんじゃなくて、あたしが可哀想だって。

だって、そんな仕返しをしたら変に罪悪感を感じてしまって思いっきり怒れないから。




「薫くんっ⋯!!」



大きな声で叫べば、駆け出していた薫くんの足が止まる。

そして驚いたようにこちらを振り返って、



「柑奈っ⋯」



焦ったような声を出した薫くんに、色々な感情が湧き上がった。