なんで、薫くんは初音さんと一緒にいるの?
なんで、あたしと約束したのに寝てるの?
もう、何もわからない。
わかりたくもない。
突然黙り込んだあたしに、初音さんの焦った振りをした声が届く。
『あ、私たちはただ大学の課題やってただけだからね?薫の家でやってたんだけど終わらなくて朝までやってたの。もちろん私以外にも人はいるから⋯怒らないでね、柑奈ちゃん』
馬鹿にされたような、そんな気分だ。
怒らないでね、なんて。初音さんが言うセリフじゃない。
薫くんの電話に出ておきながら、何言ってんのって思う。
グッと噛んだ唇から、じんわりと血が滲んでいく。



