それから薫くんとは何も無く。
といってもそれは悪い意味の何も無いではなく、順調であるという意味の何も無いだ。
意地悪されて、たまに甘やかされて、その飴と鞭の加減に落ち込んだりキュンとしたり、今までのあたし通り、薫くんのこと限定で忙しい毎日を過ごしていたんだ。
だけどここ最近薫くんは大学の課題レポートが忙しいらしく、あまり構ってもらえてはいなかった。
「大学生って大変なんだねぇ」
「柑奈も来年にはこうなるよ」
「うぇ、やだなぁ」
だって、大学の勉強って難しそうだし。
課題レポートなんて出来る気がしない。
期限も厳守でしょ?あまり自信もない。
「大学生になったら出来るようになるのかな~」
「ちゃんと頑張ればね」
「頑張れるかな、あたし」
「できるでしょ」
レポートから目を上げず、そう呟いた薫くん。
軽く言ったのかもしれないけど、薫くんがそう断言してくれたらあたし、本当に何だって出来ちゃう気がする。
空を飛べって言われても、たぶん出来ちゃう。
「ありがと!薫くん!受験勉強がんばるね!」
一応A判定を貰ってはいるけど、油断はしていられないとあたしもノートに視線を落とした。



