「もうぜったい、ぜーったいに薫くん以外にはパジャマなんて見せない」
「当たり前だよ」
「うん、家にも上げない。薫くんだけ」
包んだ頬。目を合わせたままくしゃりと笑えば、チッと、強烈な舌打ちが飛んできた。
「可愛い、⋯可愛い薫くん」
「ふざけんなよ」
「ふふ、かわいい⋯」
あの薫くんがさっきから嫉妬してくれている。
それはあたしを興奮させるには充分すぎる材料だ。
昨日はあんなに不安だったのに、今はその可愛い嫉妬が愛おしくて堪らないなんて。
やっぱりあたしはチョロいなあ、と呆れてしまうけれどそんな自分も嫌いじゃない。
「柑奈」
「なぁに、薫くん」
「別に嫉妬してるとかじゃないけど、」
「うん」
「ただムカつくだけだから」
「うん」
薫くんの頬を包んだ手を、上から被せるように握られる。
それだけでドキンと跳ねてしまう心臓は本当に、どうしようもないくらい単純だ。



