「しかもこんなパジャマでとかありえないから」
「⋯ダラしない?」
「うん」
甘いのに、怒ってないのに、機嫌だって悪くないのに薫くんの声だけが冷たくてドキンと心臓が冷たくなる。
「今度から、気をつける⋯」
「何を気をつけんの?」
「パジャマで出ないし、男の人も家に上げない」
「友達でもダメだから」
「⋯うん」
「なに?その間」
ピク、と眉を動かした薫くんの頬に手を伸ばし、無駄な肉なんて付いていない顔を両手で包み込んただ。
「薫くん、可愛い」
「は?」
あたしがそう言うと薫くんは一層、嫌な顔をしたけれど、あたし気付いちゃってるんだ。
やっぱりこれは薫くんのヤキモチなんだってこと。
あたしが薫くんの家に女の子が入ったら嫌なように、薫くんもそうなんでしょう?
パジャマ姿はダラしない事は確かだけどそれだけじゃなくて、無防備な姿を他の男の人に見せたくないんでしょう?
⋯⋯これはちょっと、期待も込めてだけど。



