「約束するね」
そう言って絡めた小指に満足そうに笑った薫くんは、どこまでも格好よくて。
あたしは、薫くんになら嫉妬されるのも嬉しいし、独占されるのも嬉しいんだよ。
むしろ、どこにも行かないように、よそ見しないように、息苦しいほどに、独占していて欲しいんだよ。
「薫くん」
「なに」
「やっぱり、手繋いでて欲しいな」
「⋯」
「大人しく寝てるから、手を握ってて欲しい」
「⋯」
「ごめんね、わがまま言って」
バイトお休みしてまで来てくれた薫くんに、なるべくこれ以上迷惑はかけたくないけど。
今は薫くんと少しでも温もりを共有したくて。
どこかしらに触れていたくて。
「ダメかな?」
そう言おうと、唇を動かした瞬間、出かかった言葉は柔らかいものに遮られ飲み込まれた。



