ハニーシガレット 【完】






「⋯っ、うっ⋯ん、」

「⋯」

「っふ、ううっ⋯、」

「それ本当に嬉し涙?」


ひく、としゃくり上げるあたしに薫くんが瞳を覗き込む。


「嬉し涙っ⋯だよ」

「へぇ」

「もう、陸斗の言葉は本当によくてっ⋯」

「⋯」

「薫くんの思いが嬉しくて⋯、」

「柑奈」


ふいに、薫くんの手が頬へと伸びてくる。

そこに流れた涙を拭う指が、ゆっくりと耳へと回り横髪をそこに掛けた。

少しだけすうっとして、鼓動が速くなる。



「柑奈」

「薫くん⋯?」

「あんまり、他の奴の為に泣くなよ」

「⋯、」

「誰かのせいで泣くのもダメ」

「⋯っ」

「誰かの前で泣くのもダメ」

「⋯かお、」

「わかった?」



露になった耳から頬へ、ゆっくりと冷たい指先が撫でる。

ゾク、とした感覚は決して嫌ではなかった。