「ううぅ~、⋯っく、」
「なに唸ってんの」
「嬉しくてっ⋯」
「唸るの?変わってるね」
両手で顔を覆い嬉しさに唸り声を上げていれば頭に感じた感触にパッと顔を上げる。
寝起きで、風邪で、その上泣いて。
そうして出来上がった乱れた髪の毛を整えるように撫でてくれる薫くんに、またキュンと胸が締め付けられる。
「その涙はまだ陸斗って奴のことで泣いてんの?」
「へ⋯」
「だったら早く泣き止んで。ムカつくから」
髪を撫でながらそんな事を言う薫くんにぱちんと瞬きを2回する。
そうすればポタリと涙が零れて、まだ自分が泣いていることに気付いた。
でも、もう不安で泣いているんじゃない。
悲しくてないているんじゃない。
今は嬉しくて泣いているの。
「違うよっ⋯、これは、多分、嬉し涙で⋯」
「多分?」
「⋯もう、陸斗の言葉はいいの」
「⋯そ」
今考えたら陸斗ってやつはなんてデリカシーのないことを言ったんだたと、ムカつくくらいにはその言葉は消化できている。
薫くんのおかげだ。
薫くは凄い。言葉一つで行動一つで、あたしをこんなにも安心させてくれるんだから。
まぁ、逆にない時の不安も大きいけれど。
でも、本当にもう、陸斗の言葉なんて一つも怖くない。



