「柑奈は俺の彼女じゃないの?」
「彼女っ、がいいっ⋯」
でもね、薫くんは?薫くんはあたしが彼女でいいの?
「陸斗も言ってたっ」
「⋯」
「まだ付き合ってたんだ?って、薫くんがあたしを選んだのが意外だって⋯!」
「その陸斗ってさっきの男?」
コクンと小さく頷くと、薫くんの手に僅かに力が入りちっと舌打ちをされた。
ビク、と上がる肩。また、ボロボロと涙が溢れた。
「柑奈」
俯き泣くあたしに、薫くんが名前を呼ぶ。
不思議だけど、薫くんに名前を呼ばれると顔が上がってその琥珀色を捉えてしまうんだ。
「ほんと従順」
そんなあたしを見て笑った薫くんにこんな状況なのにキュンとしてしまう。



