でも何か、ひとつ大切なことを忘れている気がする。
⋯⋯⋯⋯⋯あ。
「薫くんっ、」
物凄い勢いで起き上がったあたしにビクッと薫くんの肩が跳ねる。あ、かわいいところもあるなぁ、って今はそうじゃなくて⋯!
「薫くんっ、バイト大丈夫なの?」
確か今日はバイトがあると言っていたけど、もうそろそろ向かわなくちゃ間に合わないんじゃ⋯。
あたしのそんな心配なんて必要ないと言うように「大丈夫」と言った。
「大丈夫って⋯?」
「休んだ。代わりの人に頼んで」
「そんなの、大丈夫なの?」
「大丈夫だよ」
「本当のほんとに大丈夫なの⋯?」
当日休むなんて⋯と、心配しているあたしに薫くんが「それより」とベッドに肩肘をついてあたしを見上げた。
さっきまでは寝転がっていたけど今は起き上がっているあたし。なかなか薫くんに見上げられることはないからこれもまた、ドキドキする。
と、ぎゅっと胸元を握った。



