至近距離では、薫くんの瞳にあたしが映っていることさえ、よくわかる。
琥珀色の中にいるあたしは自分で言うのも恥ずかしいけど、恋する乙女だった。
「柑奈?」
「か、薫くんっ⋯」
「ん?」
「ちち、近いですっ⋯」
さすがにもう無理だと、ぎゅっと目を閉じると「なに、今更」と尤もな言葉が帰ってくる。
目を合わせるのが恥ずかしいなんて。至近距離が恥ずかしいなんて。
付き合って二年、キスだってしているし、薫くんの言う通り今更だ。
でも、どれ程一緒にいても、薫くんに触れられた場所が熱くなって見つめられるとドキドキして照れくさくなってしまうんだ。
と、ドキドキしているあたしとは対照的に薫くんは何かを考えるような表情をしてからグッと眉を寄せた。



