それからは、あっという間だった。
あたしがあたふたと慌てふためいている間にピンポーンと、数十分前に聞いた音が家中に鳴り響き、趣里たちに説明する暇もなく玄関のドアを開けると薫くんの姿があった。
お泊まりする時の様な気合いの入ったパジャマじゃなくて、普段着の女子力の欠片もないパジャマ姿にボサボサした髪の毛。
その上連絡を入れなかったことへの罪悪感が押し寄せてきて出てきたのは間抜けな作り笑顔だった。
「⋯、や、やほー⋯」
ぎこちない笑みを浮かべながら手をヒラヒラさせたあたしに薫くんの顔が歪む。
何だコイツ。みたいな目で見下ろしてる。
「なに、やほーって」
ドン引くような、蔑むような、哀れむような視線に耐えきれずに「あ、アハハ」と言いながら目を逸らせば、すっと顔の横に薫くんの手が伸びてきて包むように両頬を掴まれた。



