冷たい風が頬を撫でて、だけど薫くんとくっついているからちっとも寒くなんてない。
「ありがと薫くん。大好き」
「⋯ん」
同じくらい、“好き”がいい。
同じ分だけ、愛しいって気持ちがあって欲しい。
だけど、好きがほんの少しだったとしても、愛しい、とは程遠くても、現状、一番なだけだったとしても、あたしはそれでも泣きたくなるくらい嬉しいから。
泣きたくなるくらい悲しくて、嬉しいから。
あたしが求めていることは我儘だって、わかっているから。
満足ではないけど、あたしは大丈夫なの。
「また明日、帰り道気をつけてね」
「ん、じゃーね」
離れた温もりが名残惜しい。
遠ざかっていく背中が寂しい。
今度はしっかりと寒さを感じさせたピュウッと吹く風に、涙が滲んだ。



