ハニーシガレット 【完】







だけどそれは逆に、初音さんとの間にやましい事がないからだと思えば、まだ、救われる。


何もないから、あたしが不安になっているなんて、思っていないんだと。




「薫くん⋯、」

「なに?」

「薫くんはあたしのこと、好き?」

「なに、いきなり」

「答えて欲しいの。ちなみにあたしは薫くんのこと大好きだよ。世界で一番すき」



抱き締め合ったまま、正直な気持ちを伝える。



「それ言わなくちゃダメなの?」



と、面倒そうで嫌そうな声が聞こえたけれど「ダメ」と言って答えを催促する。



「来た理由は?」

「薫くんのバイト姿が見たかっただけ」

「⋯」

「薫くんの番だよ」



あたしはやっぱり、狡くて我儘な人間みたいだ。


嫉妬や不安を感じていることに気付いてほしいと思いながら、どうしてわかってくれないの!?と思いながら、黒くてドロドロした気持ちを知られたくない。

面倒な奴だって呆れられたくないと、言葉にしなければ伝わらないものなのにそれを嫌がって隠そうとしている。




気付いてほしい、気付いてほしくない。


わかってほしい、わかってほしくない。



グチャグチャで、モヤモヤして、心を掻きむしりたくなった。