「送っていく」
そう言って先を歩き出した薫くんに、更に強く唇を噛んだ。
当然、手も繋いでなくて。
薫くんと触れ合えば、少しはこの黒くて重くて鬱陶しい想いも晴れるのかな。なんて不確かなことを考える。
けど、いつもみたいにあたしから手を繋ぎに行く勇気もない。
悲しみ、というよりは虚しさを感じたまま重くなった足を動かした。
「⋯」
「⋯」
「⋯」
「⋯柑奈」
数メートル歩いたところで、三歩先を歩いていた薫くんが足を止めて振り返る。
その表情は怒っているのかすらわからないくらい、色がなかった。
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