パッ、と薫くんの後ろに視線を移せば、高い位置でポニーテールをした小柄な女性がこっちに向かって来ていた。 「なに薫、またトラブル?」 「違う」 「じゃあ何よ?」 その女性が薫くんの隣に並び、あたしの方に目を向けた。 クリクリとした瞳が二度、瞬きをする。 「お客さん、すみませんけどそういうのはナシでお願いしますね」 そして困った様に眉を下げた彼女にそう言われて、「はい⋯?」と今度はあたしが目を瞬かせた。