「誰がバカだって?」
「っか!薫くんっ⋯!」
背後から声がして思わず口を手で覆った。
「な、なんでもないよ、うん。⋯うん!」
「⋯わざとらしい」
フルフルと顔を横に振るあたしを冷たい目で後ろから覗き込む様に見る薫くんの毛先からポタ、と雫が頬に落ちる。
「冷た⋯」
「あ、ごめん」
「ううんっ、薫くん、髪の毛乾かさないの?」
「どうせすぐ乾く」
濡れた顔くんの髪はいつもより黒が濃くて、サラサラじゃなくて、なんというか、普段とは少し雰囲気が変わってドキドキしてしまう。
「なんで何もつけないの?」と言いながらテレビのスイッチを押す薫くんの首筋に髪の毛が張り付いて、それだけで熱い何かがお腹ら辺からこみ上がってくる。



