“ただの”可愛い彼氏

結果として,怒られはしなかった。

ただ,純は硬直していて,すこし怖くて恥ずかしかった。

食い意地張ってると思われたかな……

おずおずと純の手元から離れて,取り敢えずもぐもぐと口を動かした。



「なんで,そんなことすんの……?」



純は片手で顔をおおって上を向くと,小さな声でそう言う。

やっぱり怒った……?



「えぁっと,その,カスタードも食べたくなって」



不安になって,必死に弁解する。



「ちがう,怒ってる訳じゃない……なんで香奈はそんな可愛いことするの」



……へ?

見上げた純の顔は,真っ赤に染め上がっていた。

こんなの,どう考えたって……



「可愛いのは純じゃん!!」



私は純の頭をぎゅっと抱き締めた。

いつもみたいな抑えは効かなくて。

私からの初めてのハグに純は硬直して



「は?」



その後で怒気を孕んだ一文字を発した。

あ,しまった。

私はただそれだけを思った。