「私,頑張ってるからね」



ふふんっと純を見上げると,彼は少し顔を赤らめる。



「なにその顔,反則じゃん……それに俺だって頑張ってるのに」



納得いかなそうな顔をした純。

だけど直ぐに切り替えて



「もう,明日は負けないから。ほら帰ろう?」



私に右手を差し出す。

カレカノみたいだ……

毎日思うけど,そういえば私は純の彼女。

こんなことで確認するなんて,子供っぽいかな。

彼の一挙一動に高鳴るこの胸は,私が純に恋してる証拠。

他の人の手に触れたところで,私はきっと何も思わないから。

少し恥ずかしくなるだけ。



「香奈?」

「ううん。行こ」



私は純の手を取る。

その手を見て,触れて,やっぱり男の子だって思う。

私の手を柔らかく包むその手は,ゴツゴツとしていた。

そんなところにきゅんとくるのは変態みたいかな。

彼氏なんて純が初めてで分かんないや。

私は考えながら,前を向いた。