再燃した恋による胸の痛みに、落ち着いて物事を考えられない。手を離すどころか、指を絡められている。その事実だけが、小刻みに震える眼前に突きつけられて、どうすればいいのか分からなかった。

 21歳。高卒。もうとっくに学生は終わったのに、まるで童貞のような感情。反応。実際に俺は、この歳でもまだ性の経験がなかった。ないから、躊躇いもなく触れてくる神崎に、混乱する。酔った同級生に襲われそうになった時とは全く違う、真逆の心理だった。

 神崎、神崎。手、いつまで、繋いで。指、指、絡めて。熱い。温かい。ダメなのに、意味、ないのに、そういうことされたら、もっと、好きに、なる。アイスじゃなければ、今すぐにでも伝えられるのに。

 言葉を呑むように唾を飲む。そうしながら、アイスかどうか神崎に聞かれていたが、あの同級生のこともあって有耶無耶になってしまっていることに気づいた。神崎の予想は当たっている。正解。俺はアイスで、神崎は。ジュースじゃなければいいのに。特殊体質ではないノーマルだったらいいのに。