冷え切った皮膚でも抱いといて

「……愛してる」

 俺の思考と、神崎の言葉が、ぼやけていた輪郭をはっきりとさせていくように、綺麗に重なった。泣きながら、緩んでしまう顔。満たされていく心。その言葉が欲しかった。ずっと、ずっと、欲しかった。好き以上に、欲しかった。愛してる。俺も、愛してる。好きの二文字よりも、その五文字の方がしっくり来るし、お互いを縛り付けるには、ちょうどいい。

 ようやく通じ合った気持ち。成就した恋。秋月、と切なげに呟かれ、頬に手を添えられた。俺も神崎の頬に触れる。指先で、触れる。その手は、その指は、両想いになったことを証明するように、神崎がジュースである事実を眼前に突きつけるように、ドロドロに溶け始めていた。痛みはない。寧ろ、幸せな死が直前まで迫っていることに、涙を流しながら緩く笑みを浮かべて見せる。上手く笑えているかは分からない。引き攣っているかもしれない。それでも俺は、泣き笑いのまま、神崎を見つめた。見つめて、今度は神崎が寝入っている時ではなく、意識がはっきりしている時に、自ら唇を重ねた。涙の味がした。