冷え切った皮膚でも抱いといて

 目に見えない愛を求めるように神崎の舌を食んで、好きを隠して、それから。彼の首筋に指先を滑らせた。俺の指が冷たいからか、それとも、くすぐったさによるものなのか、微かに肩を揺らして吐息を漏らす神崎の切なげなその声に扇動される俺は、途中で止めることもできないまま彼の肌に触れ、輪郭をなぞった。神崎が俺の体につけてくれた跡を、俺もつけたい。首筋だけでもいいから、つけさせてほしい。俺の、キスの、跡。所有の証。牽制。独占欲。剥き出しの愛。

 神崎の手が、俺の髪を触る。触って、引き寄せ、僅かに空いていた隙間を埋めた。キスを深めた。熱すぎて溶けてしまいそうなほどの接吻を、酸欠になるくらい気の済むまで続けて。特に示し合わせたわけでもなく、ほぼ同時に、唇を離した。深さを物語るように舌端と舌端で糸が引かれる。でも、それはすぐに、脆く切れた。切れて消えた。

 俺の手を強く握る神崎は、その行動に反して愛おしいものでも見るような恍惚とした熱い眦で、俺をその瞳孔に閉じ込めていた。神崎は、儚い。神崎は、脆い。神崎は、美しい。神崎が、好きだ。俺は。神崎が。好きだ。