惹かれて。そのまま、手が、引かれる。自然と、動く。体を僅かに横に向けて、思い詰めるように俯く彼の髪を梳くようにして頬に触れた。崩れそうで、壊れそうで。乱暴な扱いなんて絶対にできない。唇に、首筋に、噛みつきたいなんて思っても、我慢。神崎はいつだって優しさを忘れずに俺に触れてくれたから、俺も同じように、優しく、丁寧に、神崎に触れたかった。
「神崎」
はっきりと口にしたつもりが、思っていたよりも声は出ておらず、掠れてしまった。それでも神崎は、俺の声に、手に、反応するように顔を上げ、瞬きをして、澄んだ瞳を揺らす。俺も神崎も、求め合うように体を重ねた深い夜から目が覚めつつあって。今、眼前にあるのは、俺がアイスである事実と、神崎がジュースかもしれないというほぼ確定に近い可能性だけ。いつまでも現実逃避はできなかった。好意を喉や胸に貼り付かせておく方が、切なくて、ただ、苦しくて。痛くて。
漂う寂寥感。その中にある確かな高揚感。見つめ合って、どちらからともなく唇を重ねるのは、酷く自然なことのように思えた。吐息を触れ合わせながら、寂しさを紛らわすように舌を絡めるのも、きっと、必然。
「神崎」
はっきりと口にしたつもりが、思っていたよりも声は出ておらず、掠れてしまった。それでも神崎は、俺の声に、手に、反応するように顔を上げ、瞬きをして、澄んだ瞳を揺らす。俺も神崎も、求め合うように体を重ねた深い夜から目が覚めつつあって。今、眼前にあるのは、俺がアイスである事実と、神崎がジュースかもしれないというほぼ確定に近い可能性だけ。いつまでも現実逃避はできなかった。好意を喉や胸に貼り付かせておく方が、切なくて、ただ、苦しくて。痛くて。
漂う寂寥感。その中にある確かな高揚感。見つめ合って、どちらからともなく唇を重ねるのは、酷く自然なことのように思えた。吐息を触れ合わせながら、寂しさを紛らわすように舌を絡めるのも、きっと、必然。



