余計な手間をかけさせてしまったことに申し訳ない気持ちになる俺を手招く神崎に、秋月、と言葉はなくともそう呼ばれているような気がした俺は、吸い寄せられるように彼の側へ歩み寄った。暇潰しをせずに俺を待ってくれていたような神崎のその様子に、胸が弾むほどの愛おしさを感じながら。
神崎の隣に少し間を空けて座ると、手、繋ぎたい。俺を一瞥して、彼は物静かにそう告げた。散々許可なく握って指を絡めてきたのに、どうして今更、改まって、そんな願望を口にするのか。一夜を共にした仲なのに、また、俺に触れることを躊躇うような、近づいたと思った途端離れていくような、そんな距離感に寂しさを感じる。床につけた俺の手に指先が触れそうになっているにも関わらず、神崎がどこか遠くにいるような錯覚にすら陥りそうになった。勝手に繋げばいいのに。許可なんていらないのに。驚くことはあるかもしれないが、嫌がることなんてないのに。神崎に触れてもらえるのは、俺にとって幸せなのに。
神崎の隣に少し間を空けて座ると、手、繋ぎたい。俺を一瞥して、彼は物静かにそう告げた。散々許可なく握って指を絡めてきたのに、どうして今更、改まって、そんな願望を口にするのか。一夜を共にした仲なのに、また、俺に触れることを躊躇うような、近づいたと思った途端離れていくような、そんな距離感に寂しさを感じる。床につけた俺の手に指先が触れそうになっているにも関わらず、神崎がどこか遠くにいるような錯覚にすら陥りそうになった。勝手に繋げばいいのに。許可なんていらないのに。驚くことはあるかもしれないが、嫌がることなんてないのに。神崎に触れてもらえるのは、俺にとって幸せなのに。



