熱すぎる呼吸が重なる。神崎が甘すぎて、神崎が好きすぎて、勝手にぐずぐずになる俺の唇を、何度奪っても足りないとでも言うように貪る神崎は、手前で様子を窺うように止まっていた手で俺に触れた。瞬間、塞がれた口から、言葉にならない声が漏れる。触れられて、軽く摩られただけなのに。放置されて感度が上がっていたせいか、想像していた以上に体は敏感に反応した。視界がちかちかと弾け、与えられる快楽に目から涙が零れ落ちる。怖い。気持ち良すぎて、怖い。

 濃厚なキスと、強すぎる刺激。冷静になった時に後悔するとか、罪悪感を抱くとか、そんな情事後の虚無なんてどうでもよくなるくらい乱れる俺は、交わった唾液が口の端から垂れるほど深い接吻に、善がる俺を甘やかして満足させるような愛撫に、何も考えられなくなっていた。気持ち良さに泣いて、喘いで。醜態を晒し、神崎に縋って、神崎を求めて、徐々に押し寄せてくる波に、脳を貫くような享楽に、どろどろに溶かされながら体を震わせた。身を焦がすほどの想いは、思わず口から溢れ落ちてしまいそうなその二文字は、熱くて甘いキスで殺した。初めての、夜だった。