想いを伝えたいのなら、相応の覚悟を決める必要がある。それができないのなら、いつまでも、ずるずると、伝えられない好きを引きずってしまうだけ。恋を成就させないまま生きるか、恋を成就させて死ぬか。すぐには答えの出ない自問を繰り返してばかり。結論として、どちらの道に進んでも、心はきっと、泣いてしまう。でも、もし。もしもの話。神崎がジュースじゃないと確信が持てたその時、俺は底知れない幸福を味わい、決して冷たくはない、温かな涙を流してしまうに違いない。我慢できる自信はなかった。
机の上で佇む数本の酎ハイ。凝結した水蒸気で缶の表面が濡れているその飲み物の前で、俺はぎこちなく腰を下ろした。高校生の時は定められた法律の関係上飲むことを禁止されていたそれも、大人になった今となっては、炭酸飲料を飲むような感覚で気軽に口にできるようになっていて。体は確実に成長しているのに、俺と神崎の関係は学生時代と比べてみても、あんまり、ほとんど、変わらないままだった。あれから少しも進展していないのだ。寧ろ後退しているかもしれない。お互いに気を遣い、まるで心理戦をしているかのように意味のない読み合いをして、相手の出方を窺ってばかりなのだから。
机の上で佇む数本の酎ハイ。凝結した水蒸気で缶の表面が濡れているその飲み物の前で、俺はぎこちなく腰を下ろした。高校生の時は定められた法律の関係上飲むことを禁止されていたそれも、大人になった今となっては、炭酸飲料を飲むような感覚で気軽に口にできるようになっていて。体は確実に成長しているのに、俺と神崎の関係は学生時代と比べてみても、あんまり、ほとんど、変わらないままだった。あれから少しも進展していないのだ。寧ろ後退しているかもしれない。お互いに気を遣い、まるで心理戦をしているかのように意味のない読み合いをして、相手の出方を窺ってばかりなのだから。



