「雪。突然だが、お父さん……転勤にすることになったんだ。」
 本当に突然だったお父さんの転勤すると
いう言葉…私は(友達がそもそもいないから)友達と別れるわけでもないから、やったー引っ越し先には何があるのかな?というぐらいの軽い気持ちはだったんだ。


 でも、こんなことになるなんて!

「聞いてないぞ!」

「まあまあ、落ち着いて…ははは」

 お父さんがこの学園の学園長という人を大声を上げて怒鳴りつける。目の前にいる学園長さんはお父さんと同じくらいで30代くらいかな~?若いのに学園長さんなんてすごい!!

私はまだ、今の状況がよくわからないけど怒鳴りつけたら可哀想だからお父さんに注意しないと!

 「お父さん!だめだよ。怒らないで。学園長さんが可哀想だよ!」

 「雪ちゃんはお父さんと違って優しいね~。よしよし」
 
 私がお父さんに怒っちゃだめだよ!と注意をすると学園長さんが私の頭をなでなでと撫でた。
???学園長さん、どうして私の頭をなでるの?

 「ふぇっ」

 まだ会ったばかりのよく知らない人に撫でられるという私にとっては衝撃的なことがおきて、つい、変な声が出てしまった。

 「おいっ、浩介!俺の可愛い娘に触るな!そもそも、名前をちゃん付けで呼ぶなよ!」

 「あははは、怖い怖ーい、雪ちゃん助けて~~」

 「はわわっ」

 私はどうしたらいいのかよく分からなくてあわあわとしてしまった。ふぇっ、どっちに味方すればいいのかな?お父さん?それとも、学園長さん??

 「「可愛い」」ぼそっ

 ?今、お父さんと学園長さんがぼそっとなにかを言ったような?う~ん、気のせいかな??

 「ごっ、ごほん、浩介…もういいから、最初から説明しろ」

 「うん、わかったよ」

 あれ?なんだか急に二人とも大人しくなった?よくわからないけど…よかったな~!

 「だからね。この学校は女子高じゃなくて、男子校で、今年から共学になったんだよ。」

 「おい、お前この前俺が聞いたとき、女子高だって言ってたよな?俺に嘘をついたのか?」

 「だってさー、この学園さー、男子校から共学にしたのはいいんだけど今のところ、女子生徒が一人もいないんだよねー。だからさ、雪ちゃんにこの学園で最初の女子生徒になってもらおうと思ってさー。でもさ、颯太はさ、女子高って言わないと雪ちゃん入学させてくれないだろ?だからだよ!」

 「だからだよ!じゃねえ!絶対にだめだ!雪!帰って他の学校探すよ!」

 「えー!お願いだよ~!僕、雪ちゃんにこの学園に入ってもらわないとおじい様に殺されるよ~!お願いだよー!」

 まっ、まさかの殺されちゃうの?困っている人は放っておけないし、う~ん…私は……

 「この学園に入りたい!お願い!お父さん!いいよね?」

 「ゆ、雪?」

 「お願い!お父さん!」

 「わかったよ。雪、雪がそんなに頼むなら。」

 やった~!これで学園長さんはおじい様?に殺されない?よね??

 「お父さん!ありがとう!」

 「雪!」

 私がお礼を言うとお父さんが私をぎゅっと抱き締めてくれた。どうしたのかな?

 「浩介、雪に何かあったら許さないからな!」 
 
 「わかってるよ~。雪ちゃんは僕の命の恩人のようなものだからね。弟たちに頼んで学園では不自由がないようにするから!」

 「ふん!それならいい!」

 「ふふっ、お父さん達は仲良しなんだね!」
 
 お父さん、とっても楽しそう!!私も嬉しいな~!!

 「「違う(そうだよ~!)」」

 お父さんと学園長の声が重なった。やっぱり仲良しなんだ~!!



 かくして、私は夢ヶ丘学園に入学することになった。