支度を終えたわたしは、マロミさんに「行ってきます」と伝えた。 
 
「行ってらっしゃいませ。 お気をつけて」

 マロミさんは玄関前でわたしを見送ってくれる。

「ありがとう」

 ルイトさんとの約束の時間は、十時半だ。それまでに間に合うように家を出る。
 ルイトさんは迎えに来てくれると言ってくれたけど、わたしはそれを断った。
 
 なんていうか、デート前のワクワクとかドキドキを、味わえるような気がするから。
 これがデートなのか、これが緊張なのか……と思える。

 なんとなくこう、好きな人とのデート前の緊張がこんな感じなのかって感じられただけで、わたしは進歩したと思う。
 その感情を教えてくれたのは、あの三人だ。あの三人がいなかったら、わたしはそれを知ることもなかった。

「……結婚って、こういう感情が多いのかな」

 旦那さんとのデートとか、日常生活の中での時間とか、多分きっと素敵なことばかりなんだろうな……。
 素敵なことばかりで、きっとわたしはあたふたしてしまうだろうな。 ドキドキしてばかりな気がする。

「わたしは誰と結婚、するのかな……」

 わたしは誰を選ぶんだろう……。