「僕は姫、あなたのことが好きだ」

「……えっ!?」
 
 映画のワンシーンみたいなその演出に、わたしは終始、戸惑うばかりだった。

「あ……アレンさん?」

「僕はあなたを心から愛せると思っています、他の誰よりも」

 そう言われるとわたしは、なぜかドキッとして……。

「……あ、ありがとう、ございます」

 そう思ってもらえると……やっぱり女だから、わたしも嬉しいと思ってしまうのだ。
 
「だから姫、僕を選んでほしいんだ」

「……あ、あの、アレンさん?」

 何を言ったらいいのか分からなくて戸惑っていると、アレンさんがわたしの右手の甲にキスをした。

「っ……へっ!?」

「フフッ……可愛いですね、カルティナ姫。早く僕のものにしたいです」

 そして身体をグッと引き寄せられて、そう囁かれたことを思い出すと、なぜか恥ずかしくなってしまう。

「……ダメダメッ!」

 アレンさんに惑わされちゃダメよ、わたし!
 
「カルティナ、どうしたんだ?」

「え?あ、ううん!……なんでもないわよ、お父様!」

「カルティナ。お前の幸せを一番に願っているのは、母さんだぞ」