「ただいま、お父様」

「おぉ、おかえりカルティナ」

「あら?今日はお父様、遅くなるんじゃなかったの?」

 アレンさんとのデート?の日の夕方、お父様は予定よりも早く家に帰ってきていた。
 
「その予定だったんだが、急遽予定が取り消されてしまってね」

「そうだったの」

 お父様は今日出かけると行っていたから、てっきりもういないと思ったよ。

「カルティナはどうだったんだ? 今日はアレンくんとのデートだったんだろ?」

「いや、デートって程でもないけど……」

 でもアレンさんは、とても優しい人だった。わたしに優しく接してくれて、わたしのことをたくさん聞いてくれた。

「楽しかったのか?」

「う、うん。楽しかったよ」

 美味しいミートパイも食べられたし、ヨーラ国出身のアレンにとっては、あのミートパイが母国の味だっていうことも知れたし。
 それにアレンさんと話していると、なんだかホッとする気もした。

 ーーーそして思い出す。
 
「なのでカルティナ姫」

「は、はいっ……?」

 アレンさんはわたしの右手を取ると、目の前でひざまずいたのだった。