「そうだったんですか。……だからこの味、どうりで懐かしいと思いました」
「ヨーラ国はミートパイが有名だから、その味をいつでも食べてもらいたいなと思って。それでミートパイを売り出したのがきっかけなの」
そうだったんだ……。ヨーラ国の、母国の味をたくさんの人に食べてもらいたいから、ここにお店を開いたんだ。
「まさかヨーラ国の出身の人がいるなんて、驚いたわ! でも嬉しいわ。ヨーラ国の美味しいミートパイを、こんな風に食べてもらえて」
店員さんが嬉しそうに喜んでくれるから、わたしもなんか嬉しかった。
「それにしても、本当に美味しいです。……この味です、この味」
「フフフ……。喜んでもらえて良かった」
アレンさんのこんな嬉しそうな表情を見たのは、初めてだった。
よっぽど嬉しかったのか、アレンさんはあっと言う間にパイを完食してしまった。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったです」
「ありがとうございました〜」
アレンさんはミートパイを二人にもお土産だと言って、買って帰ることにしたそうだ。
二人にもヨーラ国の味を食べてもらいたい、からと。



