図書委員なんてつまらないと思っていたけど、おもしろいこともあるかもしれない。
「さっきはありがとうございました」
手を動かしながらそう言うと。
「全然。私もはじめて借りたとき栞にしちゃってて、図書委員さんを困らせたことがあるんです」
恥ずかしながら微笑む彼女に、どきっとする。
「学年と名前を聞いてもいいですか?」
これは普通の流れだ。だって、貸出用紙に書くんだから。
「二年E組 立花 柊果です」
柊果ちゃん…年上なんだ。
さっと用紙に名前を書いて、返却日の紙を挟むと本を手渡す。
「…また本借りにきますか?」
「ほぼ毎日来ますよ。本、好きなので」
その言葉が嬉しくてたまらない。
一目惚れだと思う。
嬉しそうに笑う彼女のことを、好きになっていた。



