ふと、抑揚のない低い声が落とされる。

京様って飛鳥井くんのこと知ってるのかな……?


そういえば、京様も飛鳥井くんも同じSSRだって真凛ちゃんが言ってたっけ。


誰にでもフレンドリーだから忘れちゃいがちだけど、SSRってことは、飛鳥井くんも京様と同じくらい地位の高い人ってことだよね。

今後は、飛鳥井様って呼んだほうがいいのかな……。



「すばる、」


そんな思考を遮るように名前を呼ばれた。


「これあげる」

「へ……」


京様に何かを握らされた。

学生証と同じくらいのサイズで、だけど、学生証ほど固くない。


おそるおそる、開いてみれば。



「皇城学園食堂、和牛ローストビーフ定食……温玉盛り、引換券……っ?」

「金曜日、俺がなんで学生証を渡したか。お前わかってないみたいだね」


また、わたしにだけ聞こえる声で言う。


「へ? 学生証、は、えっと、門のとこにいた人にちゃんと渡して……」