「あの時、急いでてまともにお礼も言えなかったから後悔してて。今日、宮名さんに会えてほんとによかったー」
なるほど、
そういうストーリーなわけか。
わたしは話を合わせればいいん……だよね?
「へえ、そうだったんだ! そういえばすばるちゃん、あたしが席外してるあいだに裏庭に雑巾取りに行ってくれてたんだよね、ほんとにありがとうっ」
「っあ、いえいえとんでもない!」
そっか。
お昼休み、朱雀院様を探しに行った真凛ちゃん。雑巾を取りに行ってたわたし。
そして、みんなが校舎中を探しても結局見つからなかった鈴木くん。
お昼休みに裏庭で起こった出来事にしてしまえば、たしかに色々と辻褄が合う。
「鈴木くんて義理堅いんだね〜、わざわざ改めてお礼を言いに来るなんて。いやもしくは、お礼は建前で、ただすばるちゃんに会いたかっただけだったりしてっ」
どきっとした。
真凛ちゃんそんな余計なこと……!



