「会いたかった、すばる」


──ばくん!

心臓が大きく跳ねる音がした。

それはもう、打ち上げ花火のごとく派手な音だった。


食堂の喧騒も何も聞こえない。

わたしだけに向けられた小さな声が、周りのぜんぶをかき消してしまった。



「てか。ねえ、こんだけで足りんの?」


体を離した京様が、当然のようにわたしの隣に座って、お弁当箱をのぞき込む。



「へ……足り……? あ、ええとぉ」

「ちょちょちょ……っと待って、鈴木くんとすばるちゃんって知り合いだったの?」



動揺のあまり、まともに受け答えもできないわたしに、真凛ちゃんからの更なる一撃。

最大のピンチに視界がぐるぐるしてくる。


一方で、焦りの「あ」の字もなさげな京様は、そんな真凛ちゃんに向かって。



「実は金曜日の昼休み、宮名さんが裏庭で俺の学生証を拾ってくれて」


なっ……!?