ついに女の子たちの目が、真凛ちゃんとわたしの座るテーブルを捉えてしまった。



まずいまずいまずいっ……!

いますぐダッシュで逃げる?

いっそ倒れちゃおっかな……。



この前から心臓いくつあっても足りない気がする。



「へえ、あれが騒ぎになってた鈴木くんかあ。スタイル良〜〜……って、ん? なんかこっち歩いて来てない?」



真凛ちゃん、他人事みたいに見つめてるけど、彼こそが、いつも出待ちしてた京様なんだよ……っ。


それにしてもなんで京様がここに?

わたし、なんか無礼を働いちゃった?


学生証はちゃんと返したはずだけど……もしかして、あのスーツ着た冷たそうな人、京様に渡すの忘れちゃったのかな?


短時間でありとあらゆる可能性を必死に模索するものの、正解なんてわかるはずもなく。

ついに。


トン、と、京様がテーブルに手をついた。


それから、綺麗な顔が近づいてきて、

それから……唇が、わたしの耳元に寄せられて──。