「宮名すばるです……」
「みや………何?」
「みや……な、すばる、です」
「じゃーすばる、これあげる」
あまりにナチュラルに名前を呼ばれて、固まって。
固まっているわたしに、京様はなにかを握らせた。
「今夜ひとりで、龍泉閣にこれを持って来な」
「え? は……」
「俺との約束。破ったら殺すよ」
返事をする前に、京様は背を向けていた。
傍らで、朱雀院様が「ふざけんのも大概にしろ」と声を荒げていて。
京様が「口ごたえするな」と冷ややかに一蹴する。
ふたりが裏口から食堂を出ていったあと、現実味のないまま、ようやく手元を見て
……直後、息を呑んだ。
握らされたのは1枚の硬質カード。
皇城学園の、校章がついた──



