「ごちそうさまでした」


スープを最後の一滴まで味わって、手を合わせた。

昼休みが終わるまで、あと5分くらい。


わたしが食べ終わるまで飽きもせず向かいに座っていた京様は「満足した?」と問いかけてきた。



「はい、とっても美味しかったです! ありがとうございました……っ」

「お礼を言われるのはおかしーよ。こっちは黙っててもらう代わりにやったことなんだし」


「う、でも……最近で1番幸せだったから」

「はは、ほんとに安上がりな女だね。3大欲求に素直なのは人間としていいことだよ」



にこ、と笑われて心臓が動いた。

今、バカにされたはずなのに冷たさを感じなかった。


「と……ころで、京様が変装までして学校に来た理由まだ聞いてないんですけど、」



鼓動が早まるのを誤魔化そうと言葉を繋ぐ。



「ああ、それはねー……面白そうだったから!」