家では電子ピアノで練習してたみやびは、今までずっとグランドピアノを欲しがってて、昨日、お義父さんが許可を出した。
グランドピアノは新品で安くても100万円はするみたい。
ただ、せっかく買うならいい物をってことになって、結局300万超えのものを買うことになった。
一般家庭にとってはさすがに大きな買い物。
昨日お義父さんに、いつもの嫌がらせのついでに、金の使い方を弁えろと改めて諭されて──
いつも自炊してたお弁当が、ふりかけご飯になった、という流れ。
──“すばる、苦労かけて本当にごめんね“
お義父さんがいないところで、お母さんはいつもわたしに謝ってる。
謝られたいわけじゃないのに。
──“すばるが皇城学園の男の人に見初められたら、お義父さんもきっと、すばるを認めてくれるから……。自慢の娘だって言ってくれるから、だからお願いね──”
お義父さんに認められたら、お母さんにとっての“自慢の娘”になれる?
皇城学園の人に見初められたら、お母さんもわたしを愛してくれるのかな……。
ただ──愛されたい。
わたしが皇城学園に通う理由は……それだけ。



