「とりわけ貧乏でもない女が、どうして食堂のラーメンなんかで喜ぶんだろうね?」
「っ、」
「金が欲しいのは、本当に“お前”なの?」
はっと胸を突かれた。
この人は心の内を読めるんじゃないかと本気で疑った。
てのひらにまたじんわりと汗が滲んで、初めて「目を逸らしたい」という気持ちが勝った。
「か……京様には、関係のない話だと思います」
結局逃げてしまった。
正直に話すってことは、わたしにとって嫌な記憶を思い出さなきゃいけないってこと……だから。
──わたしのお母さんは、わたしを産んですぐに離婚して、その2年後に別の人と再婚した。
それが今のお義父さん。
お母さんとお義父さんの間に産まれたのが、妹のみやび。
お義父さんは、お母さんと前の男との間にできたわたしをよく思っていなかった。



