直後、ドクリ、と痛いくらいに心臓が脈を打つ。
てのひらがじんわりと汗ばむのがわかった。
「そ、れは、どうしてわたしみたいな庶民がこの学校に通っているのかってことで……しょうか」
「いいや。ウチにはAクラスという枠があるんだから、そこに一般家庭の生徒が通うのは当たり前のことでしょ」
「………」
「俺が知りたいのは、“お前が”この学校にいる理由」
瞳がわたしを捉えている。
夜の海を思わせる、深い深い漆黒……。
「すごく単純で浅はかな理由です、京様が聞いたら笑っちゃうと、思います」
「笑ってやるから言えよ」
「み、見初められたくて、お金持ちの方に」
「……金、ね」
笑ってやるって言ったのに、笑ってくれなかった。
軽蔑されたのかも。
そりゃあ、そうだ。
絶世の美女が言うならまだわかるけど、わたしみたいな凡人以下の女……。



