なんにせよ、SクラスやSSクラスの女の子までも動かす、Aクラスのイケメンかあ。

すごいなあ……と横目に感心する。


じゃあわたしは今のうちに、雑巾でも取りに行こうかな……。



「真凛ちゃん、ちょっと出てくるね」

「すばるちゃん……」

「うん?」

「朱雀院様、かっこよすぎたどうしよう……」



さっきの放心状態から、ようやく我を取り戻したらしい真凛ちゃんの、第一声はそれだった。



「あ、うん。たしかにすごいオーラだったよね」

「あたしちゃんとお礼言いたい! ごめんすばるちゃん、ちょっと探してくる……!」

「え……ええっ」



席を立った真凛ちゃんは、謎のAクラスのイケメンを探す女の子たちの群れに消えていった。


あ、行っちゃった……。

美味しそうなおかず、こんなに残ってるのに……。


ごくっと唾を呑んで、わたしは皆と反対方向。

裏庭の非常階段にある掃除用具置き場を目指して足を踏み出した。