どうしよう。
どうしたら……。
「──その必要はないですよ〜」
緊迫した空気の中、場にそぐわないのんびりとした声が響いた。
振り向けば……わたしのよく知った男の子。
──飛鳥井 凌駕くんが立っていた。
え……?
いつの間に。
どうして……?
「申し遅れました。SSクラス2年桔梗組の、飛鳥井 凌駕と申します」
学長も、担任の先生も、お母さんも。
目を丸くして彼を見つめる。
「この1ヶ月間、すばるさんには僕の家で家事などを手伝ってもらっていたんです。ご家族の方に連絡が行き届いていなかったようで、誠に申し訳ございません」
そう言って、飛鳥井くんはお母さんに向かって深く頭を下げた。
わたしは驚きのあまり声も出ず、飛鳥井くんとお母さんを交互に見ることしかできなかった。



