お母さんはわたしのことが心配でここに来たわけじゃない。
わたしが人様に迷惑をかけてるんじゃないかって。
それはお母さんの躾が悪いからだって、お父さんにうるさく言われるから……だ。
「話を戻すけど、今までどこに泊めてもらってたの? そのお家の方にお詫びの品を持っていくから言いなさい!」
どうしよう……。
言い逃れができない状況。
追い詰められてきゅっと唇を噛む。
本当のことは言いたくない。
静日くんがくれた大事な時間と場所を……壊されたくない。
それに静日くんにも迷惑がかかる。
わたしと一緒に龍泉閣に住んでるのは、構成員の一部の人しか知らないこと。
京家のご令息と庶民のわたしがそんな噂になったら……悪く言われるのは静日くんだ。
静日くんだけじゃなく、龍泉閣や京家の品位まで疑われてしまう。
みんなに……迷惑が、かかってしまう……。



