コンコンコン、震える手で扉をノックした。
「失礼……します……」
そこに待っていたのは、やっぱり。
「すばる!」
「っ、お母さ……」
すごい形相で近づいてくる。
思わず後ずさったけど、背中はすぐに扉に当たって。
──パン!
勢いよく叩かれた。
ああ……すごく痛い。
今朝、車で朱雀院様を叩いてしまった自分と重なって、皮肉だなあと、妙に冷静な頭で考えた。
因果応報……。
「あなた、なんの連絡もなしどこほっつき歩いてたの!」
「まあまあお母さん、落ち着いてください」
「すばるさん、毎日ちゃんと学校には来ていましたし、この年頃の子にはよくあることですから……」
傍らでなだめるのは、学長と担任の先生。
それでもお母さんの目から怒りの色が消えることはなかった。



