もうそんなに時間が経ったんだ……!
描いているあいだ一度も他のことを考えなかった。
正直、描いている最中の記憶もあんまりない。
ただ一心不乱に、静日くんの輪郭を追いかけてた……。
「はい、お疲れ様でした。裏に年、組、番号、名前を描いて各自提出してください」
先生が淡々と告げて授業が終わる。
「すばるちゃーん、何描いたのっ?」
後ろから声がかかって、慌てて画用紙をひっくり返した。
「えっ、なんで隠すの!」
「ちょっと失敗しちゃったから……っ」
「やだ見たい! すばるちゃんの絵はぜんぶ上手だもん!」
「やっ、ほんとに恥ずかしくて見せられないから勘弁して!」
尋常じゃない必死さが伝わったのか、真凛ちゃんは「えー?」と言いながらも引き下がってくれた。



