「だって食べないとお昼までもたないし……。ていうか、こんなに美味しいご馳走を食べないなんてもったいないことするわけないよ」
あっそう、って。
気のない返事をしながら静日くんは、わたしの向かいに腰をおろした。
静日くんも食べるのかなと思いきや、頬杖をついてじっとこちらを見つめてくる。
「? ……なあに?」
「べつに。食べてるすばるもかわいーなーって思って見てるだけ」
「っ、うぐぅ、」
危うく喉につまらせるところだった。
朝からからかわないでほしい……。
なにがおもしろいのか、飽きもせずに食べ終わるまでずっと見ていた静日くん。
わたしが歯を磨いたり髪を結んだりしているうちに、静日くんものそのそと着替えはじめた。
もちろん制服じゃなく。
「……今日もスーツなんだね」
「ああ」
シワ1つないシャツに、ぴしっとしまった黒のジャケット、ネクタイ。